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ウンシュウミカン・古い果皮ほど良品

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特徴

 ウンシュウミカン(Citrus unshiu)は日本の暖地で栽培される常緑樹で、鹿児島県北部の長島で中国原産のミカンからできた“偶発実生”とされています。中国の温州とは全く関係がなく、日本で生まれた新品種に当時中国浙江(セッコウ)省のミカンの中心地名を冠しただけのようです。5月頃香りのよい白色5弁花を開きますが、雄しべの葯が萎縮してほとんど種子ができません。花は5数性なので、内果皮(袋)も10個あるのが正常で、星形をした果梗部の内側には維管束の断面が見え、その数を数えるだけで皮を剥かなくても中の袋の数がわかります。また花落ちの側(尻の方)が果軸のついた頭の方より甘味が強く、2度の糖度差があって人間の舌でも容易に識別できますよ。

 外側の厚皮の部分を「陳皮(チンピ)」と呼び、江戸時代から使用されはじめた生薬です。陳は「古い」の意で、乾燥して長日月を経たものを良品とし、漢方では通常1年以上を経たものを使用します。果皮にはリモネンを主成分とする精油約0.2%を含み、健胃、鎮吐、鎮咳などの作用があることから風邪薬や胃腸薬などの漢方薬に配合されています。またミカンの皮を風呂に浮かべると、この精油成分が溶け出して毛細血管を広げて血行をよくし、冷え性や肩こり、神経痛を改善します。さらに、果肉にはクエン酸などの有機酸を含有し、ビタミンCとカロテンの豊富なことも特徴です。