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薬用サルビア・ソーセージの調味料

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特徴

 サルビアの仲間は世界に750種以上もあって園芸的に重要な一大植物群です。その中で今回とり上げるのは薬用種のサルビア(Salvia officinalis)で、地中海沿岸の石灰質土壌に生えている半低木の多年草です。茎は基部で木質化し、先端部は柔毛に覆われて白色を帯び、四角形を呈します。初夏~初秋に青味がかった菫色の花を開きます。栽培の歴史は古く、千年も前から長寿をかなえられる植物として賞賛されてきました。

 スパイス名をセージ(sage)といい、名前の通り葉をソーセージの調味料に用います。精油約2%を含有していて、防腐、抗真菌、抗炎症、駆風(お腹のガス抜き)、利胆、緩やかな血糖降下作用などのあることが知られ、また発汗抑制、乳汁の分泌抑制、神経過敏の状態改善などにも有効とされています。

 本種のお茶は、17世紀に紅茶が伝わる前からヨーロッパ各国で広く飲まれていました。脳や筋肉の働きを高める長命の薬とされたようです。オランダとの貿易が始まった中国では3倍量の紅茶と取引されたほど好まれたらしい。また歯磨き粉ができるまでは本種の葉を噛んだり、こすって歯を清めました。料理では、ガチョウ丸焼きの詰め物(スタッフィング)材料として中世以来使われていて、ピーターラビットの絵本「あひるのジマイマの話」にもこの詰め物が登場していますよ。