ヤナギタデ・焼き鮎には必需品
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特徴
「蓼食う虫も好きずき」の諺にある“蓼”の本体は、ヤナギタデ(Polygonum hydropiper )という全国各地の川原や休耕田で普通に見られる一年草です。その葉を噛むと数分後に舌先に痛みを感じるほどピリッとした辛味があるにもかかわらず、食害する虫がいることに由来しています。茎は直立して高さ約50cmになります。葉は互生し、細い披針形で両端は尖り、ヤナギの葉に似ています。夏から秋にかけて枝先に花穂を出し、やや疎らに花をつけます。全草が赤紫色と緑色の2系統が存在します。
辛味の本体はタデオナールという成分で、乾燥したり熱を加えるとその辛味は消えてしまいます。民間薬として全草を消炎、解毒、利尿、止瀉などに用いました。決して不愉快な味ではなく、事実タデの仲間はいろいろの形で料理に使われています。例えば、本種はアユの塩焼きにつきものの「タデ酢」に利用されています。これは、生の葉に少量の塩とご飯粒を加えて擂り潰し、裏ごししたものにリンゴ酢と水を等量合わせたもので、酸味が強すぎるときは煮ぎり酒でのばします。また焼き鮎を楽しむには“タデ味噌”あるいは“タデ焼き”という手法も知られています。京都では「穂たで」を鯖鮨の上に乗せて、さっぱりした辛さと種子を噛む音も楽しまれています。さらに、ベニタデの芽出し(赤紫色)は刺身のツマに付け合わされていますよね。