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ユズ・冬至(湯治)の柚子風呂

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特徴

 ユズ(Citrus junos)は、中国・揚子江上流の原産とされ、マンダリンを片親とする雑種起源の常緑樹です。日本には朝鮮半島を経てかなり古くに渡来し、今では代表的な調味用の柑橘類となっています。果面が粗いことから、古くは「オニタチバナ」とも呼ばれていました。葉は小さく、翼葉があります。花は単性で、5月頃に五弁花を開きます。新芽や花はわずかに紫色を帯びる特性があります。果実は扁球形で100g前後、黄色で芳香があり、中には丸味を帯びた白色の種子が多数内包されています。通常、結実するまでに長い年月を必要とし、幹や枝には大きな棘があるのですが、薬草園では改良品種の“棘無しタイプ”を植栽しています。

 果実には有機酸のクエン酸やリンゴ酸などを豊富に含むため、酸味が強くてそのままでは食べられません。果肉の搾汁率は15~20%です。爽やかな酸味と芳香が料理の味を引き立てる役割を果たしています。果皮に含まれるフェノール類などの精油成分は、血行を良くして冷え性や肩凝りなどに効果があります。したがって、冬至に柚子風呂に入る風習は、科学的にも理にかなったものなのですが、それは冬至を「湯治」、ユズを「融通」にかけて“健康に世を渡る”という語呂合わせとなっています。中国では、冬至は太陽が運行する黄道の起点とされ、黄色で邪を払う俗信の影響かもしれませんね。